ソラマメブログ

2009年07月16日

NPiRL訳ランドアート

手前味噌な訳出ですが。その言い訳とかNPiRL訳ランドアート
解説・訳注・コメントは、別記事にします。日英併記の予定です。
I'll comment and explain of this translation, with my next article bilingual of English and Japanese, including why I decided to self-applaudingly translate this article,

訳の始まり
Land Art in Second Life
A historical perspective and an introduction
to virtual artist Comet Morigi


セカンドライフのランドアート
ヴァーチャル・アーティスト Comet Morigiへの
歴史的展望と序論



ブログ:Not Possible in Real Life
投稿者:Bettina Tizzy
投稿日:2009年3月24日(火)

めに、ランドスケープ・アートが在った。最古の例とされているのは、約1万年前のトルコ南部・チャタルヒュユクにおける、この噴火のイメージである‥‥

‥‥ そして、この方法で、何千年を通して、ギャラリー・博物館・限られた裕福な家の、壁面が飾られ珍重されてきた。


それが終わるのは‥‥

1960年代末

1968年、最低賃金1ドル、国家債務2860億ドル。平均寿命男子66.6歳。団塊世代85万人の大学進学にあたり、ホテルやトレーラーキャンプを応急住居としなければならなかった。

ベトナム反戦に端を発し、VWバスのバークレー過激派団塊世代・拳を振りかざす黒人急進派・ティモシー=リアリーが牽引し、高学歴・サイケデリック・ピルを飲むノーブラ女性・Whole Earth Catalog に鼻をうずめるヒッピー・音楽を永遠に変えたロックのムーブメント、の異様な取り合わせが焚き付けたカウンターカルチャー‥‥

‥‥が導いたのは、「体制」への攻撃の、増長・驚異的な組織化であった。反逆が規範であり、慣習は罵倒された。

そして今、あなたは戸惑っている「このブロガーは、これを全て抱えて、何を言おうとしているのだろう? これが、どうしてヴァーチャル界の美術に関わるのだろう?」それでも不可避に、私は、あなたと、このバックグラウンドを共有して、話を進める。セカンドライフにおいても、これら先立つ全ての影響下に私たちがいる事実は、無視できない。

美術は、これら社会政治的状況から、極めて多大な影響を受ける。

かつて60年代後半、一握りのアメリカ人アーティストたちが、20代のうちに、風景を描写するという考え方自体に対抗して、直接風景に働きかけることを選んだ(→ガイア仮説)。
加えて、 ギャラリー空間の閉鎖性・美術を売る資本主義的概念自体から離別した。膨大な土砂・岩・植物を、広大なスケールで動かし、荒野・山地の形状を変えるようになった。環境がスタジオになった。

これは、易しくない事業だ。一般に、費用と期間を要する孤独な作業である。先験的夢想家の美術に対し、多くの基金が真摯に助成を始めた。そして、(当時は無尽蔵と思われた)広大な土地が、ネバタ・ユタ・テキサスなどの州に、元来のあらゆる地質学的誘惑と共に、有った。魅惑的に安い地価については、言うまでもない。

どれぐらいの大きさか? このランドアートまたはアースアートは、あまりに巨大で、知らずに訪れた者には見えない。それゆえ、しばしば空撮芸術と呼ばれる。


↓1970年、ロバート・スミッソン「スパイラル・ジェティ」460m長 ユタ州グレート・ソルト・レイク。土・岩・塩による。潮流のため、見えないことがあった。
NPiRL訳ランドアート写真:N*A*UTILUS

マイケル・ヘイザーは、ネバタ砂漠で35年以上にわたり「シティ」インスタレーションを制作し続けて、さらに8年以上を掛けるという。進行中のヘイザー作品については、彼の別プロジェクト「二重否定」と併せて、ニューヨークタイムスの2005年オーディオ・スライドショー(サイドバー参照)から見える。

ローデン・クレーターは、1979年になって、ようやく着手された。ジェームス・タレルが、クレーター(直径3.2km アリゾナ州)の購入資金を、グッゲンハイム財団・Dia美術財団などから得て、大量の土を移動・造成を始めた。この経緯については、こちらニューヨークタイムズ2007年の記事が、詳しい。

NPiRL訳ランドアート
40万年前にできたローデン・クレーターは、2011年に一般公開予定。

ランドアートの経済規模がリアルライフ最大級である一方、ヴァーチャル界における広大な規模の制作にあたっては、どこでも何ら問題が生じない。セカンドライフやオープンシムグリッドでは、住民は魔法のように土地造成能力(無骨だが)を与えられて、ツールは、その土地の性質によっては±100mまで、地面を瞬時に隆起・沈下させる。

テラフォーミング(SFでは珍しくない、地形・大気・温度・生態系の改造)とは、もともと科学分野において、惑星技術と呼ばれていたものである。

セカンドライフのテラフォーミングは、易しそうなスキルだが、しばしばリアルに見えなかったり、山・湖・谷の重なりが不細工になったりする。このビデオでは、セカンドライフ住民啓発マネージャー Torley Linden が、ユーザー画面で「テラ」の扱い方を、解いている。↓



Comet Morigi 序論
 セカンドライフのテラペインター

日本人美術家 Comet Morigi を知ったのは、全くの偶然に彼女の作品を見かけたことからだった。パーティクルの巨大なカーテンが、sim風に揺れていた。
Comet Morigi's Wind Particles
コメットの作品を、最良の条件で見たいなら、環境設定の描画距離とパーティクルを最大にしておこう。ただしビュアが重くなるので、見終わったら、設定復帰を忘れずに。

コメットは私を、2週間の調整を経たパーティクル新作へ、テレポートしてくれた。彼女の発想は、sim規模の気流を最大限に見せる気図だった。赤い正方形は各点の雲濃度を表している。sim1個の気流を調査するためのものだ。
Particle wind map - Comet Morigi
(訳注:現行版はハイバーフォーマリズム美術館にて8月8日まで
The current version is opend here at the Museum of Hyperformalism, until Aug 8th. )


私は人型アバターについて、あまりコメントしないのだが、コメットはまるでブラジル人のようだ。金ラメのドレスと靴、スポーティな日焼け跡、タイビングに合わせて動く表情豊かなアニメーション。日本人が作ったアバターとしては独特だろう。実際に彼女を撮っていると、特に私のタイプというわけでもないアバターの表情を追うのに忙しい。
Comet Morigi
しかし、美術と彼女の言葉に話を戻そう。

コメット:「『この世界』では、あらゆるものが絵で出来ている。天地・生物・衣食住・身体‥‥何もかも。人は、まるで大地に絵筆を走らせるかのごとく、土地を造成する。
インワールド『この世界』とは、RL『現実生活』の対に無く、むしろ現実の一形態である。『現実生活』はアウトワールド『外界』と呼ばれるはずではないか。」

この観点 OutWorld-InWorld が、コメットの全てと言ってよい。私の仲間内では、しばしばリアルライフをオフ界 off-worldと呼ぶが、それは問題ではない。コメットにとって、二つの「世界」は、現実の現実性 Real reality の種別に過ぎない。

Comet Morigi InWorld/OutWorld in-world

コメットは問う。「内側/外側って、何?」

Comet Morigi - OutWorld/InWorld in-world
内部と、そこから眺める外部。コメットのギャラリーOVERFOTOにて。

コメット「ここOVERFOTOで私は、ヴァーチャル自然環境の地形に、直に働きかけて、その構成や形態的特徴を変えています。(通常は展覧会を開催している)この空間自体を、いわゆるランドアート的操作を通して、1個の作品に翻訳したものです。」

生の素材・ 創造的過程の手段として自然を扱うこと。大型三次元スカルプオブジェとして、地形を操るコンセプト。これらは、コメットがセカンドスキンのように着ている理念である。
もうひとつの場所における構造では、地面の険しい起伏が、半透明の床を貫いている。↓

Comet Morigi - Land Art... an aerial view

Comet Morigi - Terra painting

ほとんどのランドワークが、その場に固有であり、しばしば自然の中で、はかないことから、伝統的な方法では市場に乗らない。オリジナル作品の販売は、ほぼ不可能だが、写真やスケッチのように、共有・複写の可能な道が派生する。コメットが制作した過去作品のパネル↓は、ギャラリーで買える。(こちらからテレポート)

NPiRL訳ランドアート

Comet Morigi - panel 2

水面・地面の形を自然のまま見せているが、しかし、このレリーフマップは抽象だ。

NPiRL訳ランドアート

コメット作品の賛同者たちは、熱烈に評価する。コレクターのエディ・ゴッターは、彼女に制作用simひとつを与え、全作品の写真を収集している。彼女は現在、そこでメガフレックスチューブを風になびかせて、試している。
Comet - Strands II
(↑訳注:訳元に無い写真、訳元flickrより。This photo is added by the translator from the original author's flickr, not in the original article. )

一方で、彼女は「沈める美術館」のスポンサーを探している。ARENA展で行った、もう残らないインスタレーションである。渓谷の急斜面が劇的な展示を、(また言ってしまうと)芸術として理解する者は、少ない。
Comet Morigi - Sunken Museum

Comet Morigi - Sunken Museum - below water
「沈める美術館」に着くと、sim全環境(雲より下、水中までも)が作品である旨、表示される。「彼女は、美術館を沈めて、環境作品にした。作品は、館内に無い。」

これをリアルライフで実現できるだろうか? できる、と私は思う。しかし考えざるを得ないのは、都市部・地方いずれで行うにしても、クリスト&ジャンヌ=クロードらが、雄大なプロジェクト毎に抱えた困難である。数年前に、彼らに私が尋ねたのは、 Over the River「河を覆う」プロジェクト(完成予定2012年以降)に関してだった。彼らの返答を、ここに記そう。

「ちょうど今、環境影響リポートの用意が整ってきたところです。250ページ以上の厚さになります。作成したコロラドの企業を選んだのが、アーカンソー川の自治体であっても、その経費は私たちの負担です。彼らは、私たちの法案を議会に通すため、2年以上作業を続けていますし、私たちも既に25万ドル以上を費やしました、環境影響調査のためだけに。その概略が整い次第、配布します。公衆の目に触れるよう、配布場所は、郵便局・市役所・学校など、プロジェクトのルートに沿う公的な場所全てです。反対者が何か言ってくることもあります。「あ、蝶のことが書かれてない。この辺の蝶については、どうなの?」そこで用意のある技術者が回答します「257ページに、その蝶について、記載がございます」。これは、ほんの一例です。未だ概略の段階ですから、何か忘れているかもしれませんが、訂正する時間なら有ります。緊急な絶滅危惧種のワニは、いませんので。」

クリスト&ジャンヌ=クロードら、ランドアーティストたちが、もしもスケッチブックとしてヴァーチャル界を用いていたなら、重宝していただろう。

今日3月24日は、エイダ・ラブレイスの日。テクノロジー分野で活躍している女性に、ブログがスポットを当てる、国際記念日である。女性の貢献は、しばしば無視される。彼女らの創意は、ほとんど語られなかった。その顔ぶれが知られることも、まれだ。陰のヒロインたちの世界に、職種を問わず、もっと光を当てよう。システム管理者であろうと起業家であろうと、プログラマーであろうとデザイナーであろうと、ソフト開発であろうとハード開発であろうと、技術ジャーナリストであろうと技術コンサルタントあろうと、彼女の業績を祝おうではないか。

エイダ・ラブレイスは、コンピュータ・プログラマーとしても、またコンピュータを単なる計算機械を超えるものと見なしていた点でも、最初期に位置する人物だ。彼女は、チャールズ・バベッジの解析機関=汎用コンピューティングマシンのために、その機械が完成しなかったにも関わらず、プログラムを書いた。コンピュータとソフトウェアの解説書を著したのも世界初であった。

エイダ・ラブレイスの日、私のブログに選んだのは、Comet Morigiと彼女のランドアート/パーティクルによる制作である。なぜなら、彼女の芸術は、テクノロジーの領域を拡げて、人々を、これまで不可能であった新たな用法へと、導いているからだ。


投稿者:Bettina Tizzy

タグ: Ada Lovelace Day, Comet Morigi, Earth Art, land, Land Art, landscape art, Not Possible IRL, NPIRL, OutWorld/InWorld, particles, Second Life®, sky, Terra Painting, terraforming, water, wind

訳の終わり
解説・訳注・コメントは、別記事に回します。日英併記の予定です。
I'll comment and explain of this translation, with my next article going to be in English and Japanese.



Posted by comet/コメット at 05:08│Comments(0)
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