ソラマメブログ

2009年05月03日

再論・仮想と現実

再論・仮想と現実
わざわざ「仮想は誤訳である、ヴァーチャルの本来の意味は、」と講釈を受けずとも、英和辞典を引けば解ります。
ヴァーチャルは、リアルの一種であって、英和辞典から読めるヴァーチャルと「仮想」は、隔たっている、と私も思っていました。

しかし、以前から気になっていたのですが、
英語圏でも、普通に「ヴァーチャル対リアル」という表現が、ネイティブの口から出ます。

代表的なのは、「in SL / in RL」。リンデン社がプロフィール画面に「2nd Life / 1st Life」と明記したにも関わらず、です(日本語版では、なぜかリアルライフと訳してあります)。

英語圏であっても、ヴァーチャルを「仮初めに想ってるだけ」の意味で使います。「仮想」って、意外に、ちゃんとした訳語なんです。
なぜ英和辞典に載っている意味と、英語圏の実際が一致しないのかと思って、調べなおしたら、

英辞郎でもヴァーチャルの訳語として、
1. 実質上{じっしつじょう}の、事実上{じじつじょう}の、実際上{じっさい じょう}の、実質的{じっしつてき}な◆実体・事実ではないが「本質」を示すもの。
2. 仮の、仮想{かそう}の、虚の、虚像{きょぞう}の
3. ネットワーク上の
これを見ると、かなり私たちが日常に使っている意味に近い。ヴァーチャルを「仮初めに思っているだけ」網上楼閣の意味で使うのは、英語圏でも同じでした。

「事実上の本質的な」の意味で使うのは、比較的古い用例、伝統的な使い方なんじゃないでしょうか。

今後、さらに調べるとしたら、
・「仮想」は、ほんとうにヴァーチャルの和訳だったのか。
・ヴァーチャルが「仮初めに思っているだけ」の意味で使われ出したのは、いつからか。
と言ったところでしょう。

では「仮想」を和英辞典で引くと、訳の起源までは解りませんけれども、仮想敵国の仮想はヴァーチャルではないですね。仮想から見ると、ヴァーチャルはいくつかある対応語のひとつに過ぎない。


これは政治的な争点です。メタバースに於ける活動を、社会的実績と見なすかどうか。住民が活動から利益や地位を得られるかどうかに直結します。
もし、メタバースが「仮初めに思っているだけ」のことならば、その中のことは「実」績になりませんし、リンデンドルでは外界を動かせないでしょう。
対して、メタバースが、リアルの一種であるなら、そこでの活動で食っていけたり、アウトワールドの教授職に就けたり、インワールド夫婦がアウトワールドでも結婚して子どもを育てて、その子もメタバースに戻ってきたりします。

私がSLに入った2007年の時点では、日本人・外国人の両方から、こんな風に言われたものです。
「セカンドライフと現実は、全く同じです。」
私「は? ルールとかマナーとか、どうなってるんですか。」
「現実社会と全く同じです。」「そうそう、同じなんだ!」

SLバブルが終わると、手のひらを返したように、「冗談だから」遊びだから」くつろぎたいから」癒やしだから」と言う人ばかりで、「現実だ!」を言う人は、居なくなっちゃいました。あの人たちは、今どこで何をしているのか、詳しく聞きたいです。


アウトワールド/インワールドには、宿命的な対立があると思います。

対立する一方は、
「この世界」から身分を打ち立て、社会評価を把み、地位と収入を「外界」まで拡張しようとする、比較的若い人たちです。
そのような人の中にも、戦略的に・あるいは斜に構えたポーズとして、「遊びでやっているだけだから」と言うものの、実は時代の前髪を見張っていて、マスメディアから取材が入ると、遊びそっちのけで興奮・本気モードになります。

対立する他方は、
既に「外界」で地位や仕事を築き上げ、時代の波に乗り遅れないために、後から来た人たちです。
彼らは、二言目には「リアルではXXX家として」「本業は、」と言います。彼らは、既に築いた社会身分の引き立て役として、先住民を利用し、先生として立ち回ろうとします。先駆的な展覧会がインワールドで開かれてしまうと、悪口を言います。

これは、開拓者としての実績を認めさせようとする側と、彼ら先住民を引き立て役として利用しようとする既存外界勢力の、避けられない対立だと思います。



Posted by comet/コメット at 19:58│Comments(0)
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